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    庄谷は自分よりは高い相手から見下されるのを避けるやうに少し遠のくと、房一の改まつた服装を胸から下にかけてぢろぢろと見た。

    「ほゝう!」

    「かういふ玩具おもちやのやうなものを出して、年甲斐もないことでした」

    「ホリョ?」

    「ほう、クレーといふのはカワラケのことかね」

    「へえ。ちよつとばかし――」

    と、房一は訊いた。

    読経がはじまつた。皆話をやめてその方を向いて坐り直した。

    房一は叫んだ。犬は房一の顔を見上げ、二三間走り、後がへりをし、それから急に葉の落ちた灌木の中にとびこんで行つた。がさがさやつて、ずつと先の路に出た。きよとんとし、時々匂ひを嗅いだ。

    と、鬼倉は意外に思つたらしい。小首をかしげていたが、

    「もはやお膳も据ゑていたゞきましたし、これで十分頂戴いたしたも同然でありますから、甚だ失礼ながらお先きに御免を蒙ります」

    「さうですか、さうですか。それは、いや、ごていねいなことで」

    「痛むか?」

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